こんにちは、 ネクストモード株式会社 のますこです
ただいま、ラスベガスで開催されているOktaの年次カンファレンス「Oktane 2025」の会場にいます。最新技術の熱気に包まれたOktane!現地の興奮をそのまま速報します。
本記事ではThe art of the merge: How NTT DATA turned five companies into one with Okta」セッションについてレポートします。
NTTグループの一員として、これは聞かねば!という思いで参加しました。
このセッションでは、NTT DATAが5つの地域企業を1つのグローバル組織に統合する過程で、複数のIDプロバイダーをOktaを中心に統合し、アイデンティティマネジメントをどのように実現したかが紹介されました。特に複数企業が持つ異なるID体系やシステムの統合における課題と解決策に焦点を当てたセッションでした。
NTT DATAは複数の地域企業がそれぞれ独自の法的実体、業務プロセス、HR処理を持つ状態から、単一の法的実体へと再編成を進めていました。これは完全な買収というよりも「内部的な統合」の性質を持つものでした。
統合における主な課題として以下の点が挙げられました:
主要な目標は:
NTT DATAはOkta Identity Engineをコアプラットフォームとして活用し、以下のアプローチを採用しました:
ハブとなるOktaテナントでは限られた管理者のみが設定を行い、エンドユーザーアプリケーションは存在しないというセキュアな設計を採用していました。彼らは約1,000のアクティブなワークフローを持ち、1日に100万回の実行を行うなど、Workflowsを非常に積極的に活用しているとのことでした。
特に注目すべき課題の一つが、各地域企業が持つ独自のMicrosoft 365テナントの統合。外部に対しては統一ブランドとして見えていても、内部的には独自の世界で運用されており、テナント間のコラボレーションに多くの課題がありました。
この問題に対処するために、Oktaが提供した重要な機能が「複数識別子(Multiple Identifiers)」でした:
統合を進めるために重要なステップとなったのが「アプリケーションハブ」の導入でした:
認証の流れは次のように設計されました:
NTT DATAは「One Platform」と呼ばれるウェブアプリを構築し、アカウント管理やサービスアカウントの作成をOktaエコシステム内で一元管理できるようにしました。また、デバイスアクセスポリシーを実装し、認証フローにエンドポイント管理を統合することでセキュリティを強化しました。
プロジェクト実施中の学びとして、以下の点が共有されました:
統合の結果、以下のようなビジネス価値が実現しました:
特に、複数テナントで重複するライセンスの問題(例:30,000人×5つのテナントでの重複ライセンス)が解決されたことで、大きなコスト削減を実現しました。
このセッションでは、複数の企業を統合する際のアイデンティティマネジメントの課題と、Oktaを活用した解決策が具体的に示されました。特に印象的だったのは、技術的な統合だけでなく、変更管理やコミュニケーション戦略、エグゼクティブスポンサーシップの重要性などの組織的側面にも触れていた点です。NTT DATAの事例は、単にシステム統合というだけでなく、組織全体を巻き込んだ大規模な変革として捉えられており、多くの企業が合併や買収を進める中で参考になる知見が詰まった貴重なセッションでした。