こんにちは、ホワイトバードです。
先日12/20に開催された「JAWS-UG Presents - AI Builders Day」に参加してきました。
オフラインのJAWS-UGイベントのレポートとなります!
(ちなみに、CfPは出していたのですが落ちました。セッション参加のみとなります)
JAWS-UG Presents - AI Builders Dayとは
本イベントの概要にについては次のようになります。
- 2025年はAIエージェント元年。AWSで生成AIアプリを作る日本の「ビルダー」たちを盛り上げるため、国内最大規模の開発者向けイベントをオフライン開催します。
- 今すでにAIエージェント構築に取り組む開発者はもちろん、これから挑戦したい方、エンジニアでない方の入門を後押しします。
- AWSユーザーコミュニティ「JAWS-UG」主催の学習イベントで、主役は技術セッションです。
- オフラインイベントならではのエンジニア交流機会も創出します。
AWSでのAIエージェント構築における最先端の事例や苦労点、最新機能の実践などがオフラインで語られる貴重なイベントでした。
イベント告知サイト
https://jawsug.connpass.com/event/371658/
イベント模様
今回ユーザーグループのオフラインイベントであったのですが、入口から豪華な看板が設置され、「これは本格的なイベントでは・・・」という期待と予感が混ざる入口となっておりました。
オープニング
オープニングはみのるんさんから。まずは思いの丈から。
- AIでアプリケーションを作るビルダーたちをもっと盛り上げたい
- 実践者同士の知見共有はもちろんこれから始める人向けの入門も後押ししたい
今回オフラインイベントが初めての方も多いことから、休憩も少し長めに取られ、その間にほかの参加者と交流してほしい旨の諸注意がありました。
キーノート
【キーノート1】まだ間に合う!Agentic AI on AWSの現在地をやさしく一挙おさらい
スピーカー:みのるん さん(KDDIアジャイル開発センター株式会社)
セッション資料
セッション模様
- 午後からの登壇者のセッションを聞きやすくするためのもの
- AWS re:Invent 2025の新発表に至るまでにLLMおよび生成AIアプリケーションの歴史
- 2022.11にChatGPTが登場が出て、生成AIを聞かない日はない
-
- 自社でチャットAIを入れ始めたら、自社のアプリでLLMのAPIを呼び出したい →Amazon Bedrock
- 企業利用を考えたらハルシネーション対策が必要だったので、RAGによるアプローチを始めた
- ただし、RAGのパイプラインを作るのが大変だった →Amazon Bedrock Knowledge Bases
- RAGのベクトルストアが高い!→Amazon S3 Vectors
- 一問一答だけだと限界がある
- ReAct(Reasoning&Acting)
- AIエージェントを作れないか?→Amazon Bedrock Agent
- GUIだけだと限界がある、もっと柔軟なツールや他社のLLMを使いたいなど→Strands Agents
- コードはかけた、どこにデプロイしよう→Amazon Bedrock AgentCore
- コードが書けない?→Kiro
- なぜAWSでAIエージェントを作りたいか?
- ビルディングブロックの思想が好き
- コミュニティも大事なビルディングブロックの一つ
- 2026年はAIエージェント構築元年にしましょう
【キーノート2】 The Future of AI: Building Intelligent Systems That Think and Act
スピーカー:Shakeel Ahmad さん(Specialist Solutions Architect Leader, APJ - AWS)
セッション資料
現時点で公開なし
セッション模様
- AI/MLから生成AIおよび、Agentic AIの歴史
- Agentic AIの基本コンポーネント
- Agent
- MCP
- Tool
- LLM
- Prompt
- Systems that Think & Act
- Agentic AIを使用したスマートなシステムは、4つの属性がある
- 個人の生産性に寄与するもの
- エキスパートの生産性に寄与するもの
- ビジネスの生産性に寄与するもの
- 顧客体験に寄与するもの
- ソフトウェア開発に寄与するもの
- WebサーバーのシステムからAgenticシステムに置き換わっていくが、その基盤となる技術を理解する
- Agentic ワークロードの理解
- AIエージェントの基礎
- 生成AIの理解
- データ管理の基礎
- クラウド・インフラ・ネットワークの基礎
- 伝えたいこと
- Learn and be curious
- Get hands on build, build today
英語のセッションでしたが、スクリーンにはなんと同時通訳の日本語が表示され、こうしたところも運営の方の配慮を感じるセッションでした。
個別セッション
キーノートの後は、個別セッションに参加しました。
トラックが同時に3つあったため、すべてのセッションは参加できませんでしたが、参加したセッションについては3点ずつコメントをつけたいと思います。
Strands AgentsとNova 2 Sonicで S2Sを実践してみた
スピーカー:Yuuki Yamashita さん
セッション資料
セッション模様
- Nova 2 SonicとStrands Agentsの双方向ストリーミングに対応したため、Speech to Speechを楽に実装できるようになった
- Nova 2 Sonicはポリグリッド音声に対応し、東京リージョンでも使用可
- 公式には日本語非対応だが、日本語で入力すると日本語で返ってくる。ただし、日本語のうまい外国人という感じ
Kiroを用いたペアプロのススメ: AWS社内ハッカソンで新卒2年目が入賞した話
スピーカー:菅原 太樹 さん(アマゾンウェブサービスジャパン合同会社)
セッション資料
セッション模様・コメント
- AWS社内のAPJハッカソンで新卒2年目ながら上位に入賞
- 人間二人とKiroのPair Plus On Programing(PPOP)
- Kiroに負けない人間の体制を整えるために、PPOPによって人間の集中力を上げて、世界と戦う
-
Strands Agentsで Bedrock KB を噛ませるなら? Strands retrieve tool vs Bedrock KB MCP Server
スピーカー:森本 康太 さん(ダイキン工業株式会社)
セッション資料
現時点で公開なし
セッション模様
- Strands AgentsからAmazon Bedrock Knowledge Basesを呼び出す場合に、Strands retrieve toolとBedrock KB MCPサーバーをどう使い分けるか?
- Strands retrieve toolはKnowledge Basesを明示的に選択させたい場合や、タスクに応じて指定できる場合に向いている
- Bedrock KB MCPサーバーは多数のKnowledge Basesがあり、エージェントに自律的に検索を行う場合に向いている
Strands AgentsとBedrock AgentCoreを使って社内タレントアサイン支援AIを開発してみた
スピーカー:南川 虎之介 さん(KDDIアジャイル開発センター株式会社)
セッション資料
現時点で公開なし
セッション模様
- 新卒一年目、JAWS-UGは初登壇(単純にすごい・・・)
- 社内タレントアサイン支援システムによって、スキルや稼働状況といった情報を集約し、部長などに属人化しているアサイン作業を減らしたい
- v1はBedrock Agentを使っていたが、現在時刻の取得の不確実性や、返答までの時間が長いことに悩んでいた
- v2はStrands Agentsを採用、自律的なLoopのほうが良いのではと考えた。現在時刻は正しく取得できるようになったが、応答時間は変わらなかった
- 今後は料金を抑えるためにSPA化やAuroraのDynamo DBへの変更などAI以外の変更を実施
日本の AI 開発と世界の潮流
スピーカー:針原 佳貴 さん(アマゾンウェブサービスジャパン合同会社)
セッション資料
現時点で公開なし
セッション模様・コメント
- AWSでは日本における生成AIの開発を2023年ごろから支援。
- GENIACではAWSが基盤支援を行い、経済産業省でGTMを支援
- PLaMoでは高品質な合成データを利用し、軽量ながら高性能を維持
- 今後はVLM(Vision Language Model)やPhysical AIとロボット用基盤モデルに向いたVision Language Actionモデルが開発の主流になっていくのでは?
フレームワークを活用したAIエージェントの評価 ~AIエージェントを育てるために~
スピーカー:塚田 真規 さん(三菱電機)
セッション資料
セッション模様・コメント
- AIエージェントの開発フレームワークはいくつもあるが、エージェントの評価が必要で、エージェントを育てていくことが大切
- AIエージェントの評価は次の3つがある
- Strands Evals SDKでは、テストケース生成もできる
AgentCoreで実現するマルチテナントAIエージェント
スピーカー:伊賀 裕展 さん(株式会社エクサウィザーズ)
セッション資料
現時点で公開なし
セッション模様
- マルチテナントSaaSの課題
- テナントコンテキストの伝搬
- データのパーティショニング
- ノイジーネイバー問題
- AgentCoreでの対処
- 基本的には従来のアプリケーションの対応と大差がなく、テナントコンテキストをどう伝搬するかが課題
- Runtime
- セッション分離
- テナントコンテキストをクライアントから受け取る方法
- Runtimeから先の伝搬は代理実行を使って最小権限を確保する
- Memory
- ユーザの会話履歴が保存されるため、データ層のパーティションやテーブル分離が必要
- ActorIDや名前空間にt来してIAMのCondition Keyを定めたり、CognitoのIDプールを使用した方法もある
- Gateway
- Inbound Authでの認証
- AgentCore Policyによる条件付け
- Gateway Interceptor
- MCPリクエスト
- tool/list
一覧の取得して返却される前にFilterをかけたい
Interceptorで制御かける
- tools/call
実行する前に阻止する
- 注意事項
AgentCore Identityのクォータに注意する(上限緩和不可)
Runtime+Gatewayの数を1000以下にする
API Keyの連携先一つにつき、credentioal providersが2以下
テナント数×サードパーティサービス数が50以下
Strands Agents × インタリーブ思考 で変わるAIエージェント設計
スピーカー:鈴木貴典 さん(アクロクエストテクノロジー株式会社)
セッション資料
セッション模様・コメント
- インターリーブ思考と尾は、Claude独自の思考プロセスで、推論モデルオプションの一つ
- Tool処理の途中でも思考してくれるため、Tool UseやMCPとの相性が良く、ツールの呼び出しと思考を一つの処理で実行できる
- 工夫して作ったエージェントより、インタリーブ思考を有効化したシングルエージェントのほうが結果が良かった
- Strands Agents×インタリーブ思考の組み合わせが良い
- 人の思考に近い処理ステップを実現してAIエージェントの処理を高速化する
- インターリーブ思考を使った場合のシングルエージェントが向いているケース
- ReAct的な処理
- 複数の処理ステップがあり、段階的な判断が必要な場合
- 複数のツールを実行しながら最終的な結果を得る場合
- インターリーブ思考を使った場合のマルチエージェントが向いているケース
Bedrock AgentCoreを活用したAIエージェント運用共通基盤の構築プラクティス
スピーカー:飯田 壮一 さん(株式会社HBA)
セッション資料
セッション模様・コメント
- 何も考えずにエージェントを開発していくと、属人化・インフラ環境の重複・複数のインターフェース・セキュリティやガバナンス、車輪の再発明などの問題が出てくる
- エージェント開発者にはコードとマニフェストファイルを用意してもらい、カタログとして登録しエージェントカードとして使えるようにする
- セキュリティ・ガバナンスはIAM認証やJWTでのリソースベースのポリシー、AgentCore Gatewayでのセマンティック検索を有効化、Gateway Interceptorによって余計なツールを見せない、誤ったツールを選択させないことが重要
AIプロダクトを支えるLLMOpsの技術
スピーカー:熊井 悠 さん(ランスティア株式会社)
セッション資料
現時点で公開なし
セッション模様・コメント
- チャット型AIマーケティングエージェントの評価に使用するため、ユーザ特性に応じた複雑な処理ロジックが必要
- LLMOpsにはLangfuseを活用し、LLM-as-a-Judgeによるスコア判定によって「ふるい分け」を行った
- Human-in-the-loopからの脱却や仕組化も大事だが、AIエージェントにはユーザー体験のフィードバックが何より大事
- LLMOpsは経験値の蓄積が重要で、今後の主戦場になる可能性がある。
スポンサーブース・その他
スポンサーブースもいくつかあり、生成AIを活用した製品の紹介があったり、スポンサー企業のパンフレットが設置されたりしていました。
オフラインイベントらしく、NOCの設置もされておりました。有線の回線が引けず、急遽モバイル回線を複数使う方針になったようですが、常時数十Mbpsを処理しておりました。また、AIイベントらしくAnthropicやAWSそのものへの通信が目立つ、というのはちょっと変わったところだという話をNOCチームの方と行っておりました。
まとめ・感想
今回AIに特化したJAWS-UGのオフラインイベントは初めての開催でしたが、申し込みが2日で満員になったり、現地でも非常にたくさんのセッションがあったりと大盛り上がりのイベントでした。
各セッションも非常にハイレベルで、日本におけるAWSを使ったAIエージェントの最前線の事例が盛りだくさんだったと思います。私もこれらの学びから、この領域でもアウトプットできるよう頑張っていきたいと思います!