はじめに みなさまこんにちはこんばんは、oktaneをこよなく愛するネクストモードのおはらふです...
【oktane25】クロージングキーノート:Art, innovation, and AI: A creator's perspective
はじめに
皆様こんにちはこんばんは、Oktaneをこよなく愛するネクストモードのおはらふです
Oktane25も3日目に突入すると終わりが見えてきて少し寂しくなりますね
今回は、そんな3日目に開催されたクロージングキーノートの様子をお届けします
キーワード
Oktane25、クロージングキーノート、Joseph Gordon-Levitt
okta for good
突然ですがOkta for Good の取り組みはご存知でしょうか?
https://www.okta.com/ja-jp/company/okta-for-good/
「私たちには、社会に貢献する責任があります。Oktaの成功は社会とつながっています。社会が繁栄していなければ、ビジネスも繁栄できません。」
CEOのToddの言葉にあるように、Oktaはこの使命を果たすために様々な活動を行っています
この後のセッションでもAIやセキュリティに対する考え方が色々と聞けましたので、その内容をお伝えしていきます
ジョセフ・ゴードン=レヴィットとの対談
クロージングキーノートのゲストは俳優、映画制作者、起業家でもあるジョセフ・ゴードンさんです
インセプションやダークナイト ライジングといった有名映画にも出演されているので、知っている方は多いのではないでしょうか?
まずは自己紹介がありました
プロとしてのクリエイティブな面と個人的な生活を区別することの大切さや、3人の子どもを持ち音楽を作ることが大好きで、ギターやベース、ドラム、ピアノなどを楽しみ、音楽が家族の中ですごく美しい存在になって、毎日幸せをくれる。とのことでした
クリエイターとしての道のり
自身のキャリアの出発点を6歳頃のLAのコミュニティ・シアターに見出しています
母親との会話をきっかけに活動を始め、以来「楽しさ」が原動力であったと語ります。また、「ショービジネス(娯楽産業)」と「芸術・創造性」の違いを強調していました
ショービジネスは近代に登場したものに過ぎず、人間の物語や歌は、焚き火や酒場を舞台に金銭とは無縁で営まれてきました
現代はテクノロジーによってその形が変わり、テレビやデジタル音源に置き換わったが、根源的な創造性はビジネスよりも深い人間の営みに根ざしている点を忘れてはならないと指摘しています
HitRECord プロジェクト
2000年代半ばに兄が立ち上げた小さなウェブサイトに短編や曲を掲載し、やがて「誰かに選ばれるのを待つのではなく、自ら“RECボタン”を押す」という決意から“HitRECord”が誕生したと説明しました
当初は個人の作品を公開する場だったものが、オンラインでの共同制作の場へと進化し、TV番組やレコード制作にも発展。収益を透明性を持って貢献者全員に分配するモデルを構築し、エミー賞を2度受賞するなどの成果を上げています
巨大企業にはならなかったが、テクノロジー活用やデータ分析を学び、一人ひとりを「群衆」ではなく人間として尊重する姿勢を貫いてきた。という言葉が印象的でした
AIとの関わり
2008年にレイ・カーツワイル『シンギュラリティ』を読んだことが技術への関心を深める契機になったと語っていました
その後、2018年頃にLLMへ関心を寄せ、GPT-2については「遊びに過ぎない」と述べていましたが、GPT-3以降の飛躍により効率と表現力の高さを認めるようになったとのことです
技術進歩は創作のコストを下げ、世界中の若者に表現の機会を開く可能性があると強調しています。一方で、無断で個人データや作品が学習に利用される現状には懸念を示しています
巨大企業が「誰の言葉も作品も行為も勝手に取り込んで収益化し、本人には何も還元しない」が許されるなら、資本・権力・影響力の極端な集中に向かう。自由な社会のレシピじゃないと指摘し、今こそ大事な原則は、「あなたのデジタルな自己はあなたのもの」
あなたのアイデア、言葉、文章、創作、行為はあなたに帰属する。これはセキュリティとも不可分だ。と、とても印象に残る発言をしていました
セキュリティと法整備
一例として、カリフォルニア州で審議中のSB-53法案を挙げていました
これは最先端モデルを開発する大手企業に対し、安全性と透明性の基本プロトコルを義務づける内容であり、全員が賛同しているわけではないものの、公益の観点から必要だとする意見が広がっていると述べています
ただし透明性を求めるのであれば、州政府のセキュリティ基盤を強化することが不可欠だと指摘しています
研究所が価値ある情報を提出しても、州の基盤が脆弱で盗まれるようでは意味がないため、立法スタッフとの議論においても予算と優先度の引き上げが必須だと語っていました
仕事と雇用への影響
古典的な映画制作を好むと語る一方で、何千万〜何億ドル規模の投資を未来永劫の標準とする必要はないと述べていました
新技術によって低コスト化を進め、世界中の若者がハリウッド並みの表現力を得られる環境を望んでいるといいます
しかし最大の課題は経済設計にあると指摘しています
大手テック企業が示唆する「ごめん、クリエイターは運が悪かったね」という前提は受け入れがたく、LLMは他者のデータなしには成り立たない以上、提供者への補償を否定するのは不当かつ雇用への脅威だと強調していました
ただし現状維持を求めているのではなく、産業の進化は必要であり、その際に重要なのは「移行のデザイン」であると述べていました
テクノロジーの進歩に反対しているのではなく、公正な経済設計を求めているのであり、AIが他者の入力を基盤とする以上、同意・帰属表示・補償といった敬意が不可欠だと主張していました
エンジニアに対しての一言
自身はエンジニアにはなれなかったが、テクノロジーが世界を良くしていると語っていました
お金を稼ぐこと自体は悪ではないものの、「お金だけ」を目的とすれば道を誤ると指摘します。企業は金を生み出す装置のように見えるが、実際にそれを形作るのは人間であると述べていました
だからこそ働く一人ひとりが利益以外の価値観を持ち続ける必要があると強調しています
特権や機会には責任が伴い、市場は完全ではない。利益だけを最適化しても望む社会には至らない可能性があるため、その点を忘れずに進むべきだと述べてセッションは終了しました
おわりに
個人的に映画のインセプションが好きで、その役者さんのセッションとのことなのでテンション上がっていました
話を聞いてみると「エンジニアではない」と謙遜していましたが、AIやセキュリティに対する考えが深く、信念が根付いているとても魅力的な方でした
今回紹介したような考えを持つジョセフさんの今後の活躍が楽しみ過ぎます!