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ネパールでワーケーションはできるのか?ヒマラヤ実践記

 

日本酒こよなく愛する里見です。2020会社立ち上げ以来、年間100以上、仕事組み合わせた「ワーケーション」実践ています。にとってワーケーションは、単なる気分転換ではなく、現地暮らし風土触れること新たビジネスヒントたり、社会課題兆し感じ取るための、いわば“実地フィールドワーク”でもあります。異国パソコン開くことで、日常では見えなか問いが、立ちってきます

今回は、その中でもとびきり冒険——ネパール・ヒマラヤかけした。目的は、アンナプルナ・ベースキャンプ(ABC)と、峻険なるサーキット・ルート二つ踏破することです。標高1780メートル湧き出る温泉宿のJhinu Danda(ジヌーダンダ)中継し、「もしかすると、この道中仕事できるでは?」という淡い期待ながら、ノートパソコンザックせ、向かいした。

そうしてまっが、ヒマラヤテクノロジー融合模索する試みです。

5416mのThorang-La Passにて5416mのThorang-La Passにて

ヒマラヤの風に、ノートパソコンを開くということ


昨年の晩秋、チョムロンの山あいにて、谷を渡る風の音をBGMに、ひとつのWEB取材に応じました。画面越しの世界に、ヒマラヤの静けさが溶けていく感覚は、不思議な高揚をもたらしてくれました。
「ならば、ここでも働けるのではないか?」
そんな小さな確信が、今回の旅のはじまりでした。目的地はアンナプルナ・ベースキャンプ。標高4,130メートルの聖地です。私はザックの中に、そっとノートパソコンを忍ばせました。登山者の荷は軽いに越したことはありませんが、どうしても試してみたかったのです。文明の小箱をヒマラヤに連れていくことを。
標高2710mにあるチョムロン村で前回取材を受けました標高2710mにあるチョムロン村で前回取材を受けました

ポカラとカトマンズ、二都の電子風景


ネパールの二大都市であるポカラとカトマンズは、それぞれが異なる喧騒と静けさを持ち合わせています。これまで六か所ほどで「旅のなかの仕事場」を構えてみましたが、結論としては、ワーケーションは十分可能だと感じました。
カトマンズのダルバール広場カトマンズのダルバール広場
 
光ファイバーは思いのほか普及しており、多くのホテルではストレスのない通信環境が整っています。ただし、Wi-Fiのアクセスポイントが少ない場合、部屋の場所によっては電波が届きにくいこともありました。ロビーでZoom、カフェでSlackというように、場所を選ぶこともありました。
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電線に混じって、光ファイバーのケーブルがグチャグチャに敷設されています

一方で、ネパールでは停電が日常的に発生します。日本では考えられない頻度で、ほぼ毎日、数時間の停電が起きます。ただ、その間もWi-Fiや携帯電波は生きていることが多く、仕事への影響は限定的です。高級ホテルのなかには自家発電を備えており、停電中でも煌々と灯りがともっている建物を見かけることもあります。
ポカラのフェワ湖の夕日ポカラのフェワ湖の夕日

OYOホテルという、現代の旅籠


今回いくつかのホテルに滞在しましたが、なかでもOYOブランドのホテルは、通信環境の安定性において特筆すべきものでした。
4d85f12c-c632-4c9e-a781-6aeab647444fカトマンズのホテルの屋上からの景色
 
OYOは既存ホテルのブランドを再生し、テクノロジーを駆使して運営効率を高めることで急成長した企業です。フランチャイズモデルを基盤とし、業務の標準化や価格の最適化に力を入れており、ホテルオーナーには収益最大化を、宿泊者には安定したサービスを提供しています。日本でも展開しており、ソフトバンクが出資しています。
今回泊まったOYOホテル
今回泊まったOYOホテル

泊まったカトマンズのOYOでは、1泊2400円ほどの個室に宿泊しました。ホテルのランクはさまざまですが、各階にWi-Fi装置が設置されていて、部屋でも快適にインターネットを利用することができました。サービス品質にはばらつきがありますが、とにかく「Wi-Fiが速い」ことが、旅の中で仕事をする身にはありがたかったです。
宿泊したOYOには中国のRuijie社製の無線LAN機器が各階に設置
宿泊したOYOには中国のRuijie社製の無線LAN機器が各階に設置
 
カトマンズのOYOホテルのインターネット速度テストは十分なスピード。ただし、時間帯によっては遅くなることもあり、モバイル回線のバックアップは用意しておいた方が望ましいです。今回はWEB会議中に何度か回線が落ちることがあり、接続人数によって安定しない環境でした。モバイル回線はNCELLを利用しましたが、電話から *101#を押すだけで、残りのデータ容量がわかるので便利です。モバイル回線の値段は恐ろしく安く、28日間で20GByteが800円でした。
インターネットの
 
ちなみにネパールからのNetskope接続はインド経由でした。Kolkata, India、Hyderabad, India、Chennai, India、Delhi, India、の4か所がマークされていますが、通信速度の速いところをNetskopeが自動的に選択して接続しています。Netskopeのおかげで、世界中どこからでも働けるのはありがたいです。
Netskope画面
 

聖なる山のふもとで、パソコンを開く愚かしさ


アンナプルナ・ベースキャンプでのワーケーションは、山と仕事の両立を夢見た試みでした。ポカラからジープに揺られてたどり着いたJhinu Danda(ジヌーダンダ)で、さっそくHubSpotにアクセスしてみましたが、何度もセッションが切れてしまい、作業は中断されました。
何よりも大変だったのは電源です。山小屋では夜にならないとコンセントが使えず、日中はノートパソコンがただの重しと化します。Wi-Fiは非常用電源で常時使えるのですが、混雑してくるとWi-Fiすら不安定になります。
ルーターを再起動したり、光ファイバーの接続を試し直したりしましたが、改善しませんでした(ネパールの方々は、通信機器を気軽に触らせてくれる親切さがあります)。
WiFi機器には光ファイバーが接続されている様子
アンナプルナのトレッキング中に泊まった山小屋のWiFi機器には光ファイバーが接続されています

充電のためのテーブルタップも混沌としています。電源分配器を持参していたので対応できましたが、これではワーケーションどころではありません。結局、今回はヒマラヤでの仕事はあきらめ、素直にポカラへ戻ってから作業を再開することにしました。
アンナプルナのトレッキング中に泊まった山小屋の充電風景
アンナプルナのトレッキング中に泊まった山小屋の充電風景

スターリンクを持っていけばよかったのでは?


「スターリンクがあれば働けるのでは?」という思いもありました。しかし2025年5月現在、ネパールではスターリンクの利用は認められていません。ネパールの電気通信法第21条により、ライセンスなしでの通信サービス運用は禁止されています。
さらに、ヒマラヤでは電源の安定確保が難しく、たとえ利用可能だったとしても実用性には疑問が残ります。

Section 21: Prohibition to Operate Telecommunications Service without Licence
No person shall operate any Telecommunications Service without obtaining a Licence pursuant to this Act.
Jhinu Danda(ジヌーダンダ)の山小屋からの景色
Jhinu Danda(ジヌーダンダ)の山小屋からの景色
 
ちょうどこのブログを書いていた時、以下のような報道が出ていました。

「カトマンズ、2025年5月6日:イーロン・マスク氏のスターリンクが提供するインターネットサービスがネパールのヒマラヤ高地のベースキャンプで違法に使用されているとの報道を受け、ネパール電気通信庁(NTA)は、このような無許可の運用を直ちに停止するよう指示を出しました。」
https://www.myrepublica.nagariknetwork.com/news/nta-orders-immediate-halt-to-illegal-use-of-starlink-internet-in-nepals-him-92-37.html

同じこと考えるやっぱりいるな」と、連帯覚えした。いつか、スターリンクヒマラヤ常時つながるなら——そのときは、再びこのパソコン連れ登りたい思います。

より高い場所でも、働けるかもない。そんな続きかけながら、これからを続けワーケーションという実験重ねていくつもりです。クラウドかして、「あたらしい働き方」社会ていく——そんな未来を、ストモード仲間たち一緒ていたらってます。

Thorang-La Passに向かう途中、ティーハウスからの日の出

Thorang-La Passに向かう途中、ティーハウスからの日の出