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SaaS 型統合監視サービス WhaTap Monitoring のご紹介

はじめに


こんにちは!ネクストモード株式会社の行縄です。

本記事では SaaS 型統合 IT システム監視サービス WhaTap Monitoring をご紹介します。

本サービスをご紹介することになった背景には、20233月末の韓国・ベトナム訪問があります(弊社里見による関連記事赤井による関連記事)。その際にミッションとなっていた現地の IT/SaaS 関連企業調査の一環として、開発元の WhaTap Labs 社を訪問させていただく機会があり、本サービスを知るきっかけとなりました。

ネクストモード社では AWS 運用保守サービスを提供していますが、興味深い関連 SaaS 製品の一つとして WhaTap Monitoring を取り上げたいと思います。

WhaTap Monitoring とは


概要

WhaTap Monitoring は、韓国の B2B 向け SaaS スタートアップ企業である WhaTap Labs 社が開発・提供する、SaaS 型の IT サービス向け統合システム監視サービスです。

WhaTap Monitoring は、監視対象に応じた ApplicationsKubernetesContainer(非 Kubernetes なコンテナ管理サービス向け)、DatabaseServerURLCloudLogBrowser 9種類のサービスと統合ダッシュボードにより構成されています。

サービスの監視対象として、アプリケーション、Kubernetes 等のコンテナ管理サービス、コンテナ、データベース、サーバ、URL(ウェブアプリケーション外形監視)、ウェブブラウザをカバーしており、Amazon CloudWatchAzure Monitor 等と連携したクラウドの各種メトリクスの監視、独自エージェントと連携したログ監視もサポートしています。

また、主な機能として、カスタマイズ可能なサービス横断の統合ダッシュボード(下図)、アプリケーションリアルタイム監視、アラート通知、原因分析、ログ統合、データ連携を提供しています。

WhaTap Monitoring 統合ダッシュボードデモ
統合ダッシュボードのデモ画面


WhaTap Monitoring
の公式ウェブサイトでは、サービスのリリースノートが公開されていますが、現在進行系で継続的にアクティブな開発が進められているサービスであることが分かります。サービスのクラウド基盤としては、AWS が利用されています(参考: AWS 公式ウェブサイト WhaTap Labs Case Study)。

韓国発の SaaS 製品ですが、2023年7月現在、韓国語に加えて英語、日本語の表示がサポートされており、ダッシュボードを含む管理画面、ドキュメントは各言語に切り替えて利用・閲覧することが可能となっています。

各サービスの監視対象と代表的な機能

WhaTap Monitoring を構成する各サービスの監視対象となる環境と代表的な機能を以下にまとめます。機能詳細および動作環境のバージョンなど、最新の技術仕様については、公式ドキュメントの各サービスサポート環境を参照してください。

サービス 環境 機能
Applications Java, Node.js, PHP, Python, .NET, Go ・リアルタイムなトランザクションモニタリング 
・トランザクション性能の詳細分析
・マイクロサービスアーキテクチャ(MSA)向け呼び出しパターン分析
・AI を活用した応答時間分布パターン分析
・プロジェクト横断的なトランザクション連携分析 ・事後分析
Kubernetes EKS, AKS, GKE, OKE, OpenShift, Cocktail 他 ・Kubernetes ベースの統合モニタリング
・MSA におけるサービス毎の呼び出し関係分析
・ホスト、コンテナ、アプリケーションの同時モニタリングによる相関分析
・コンテナ化されたアプリケーションの詳細分析
・Container Map 機能による統合的、かつ柔軟な見える化を実現
・リソースの詳細モニタリングと使用量の推移確認と週次・月次レポート
Container Amazon ECS 他 ・ECS タスク内 Docker コンテナごとのリソース使用量監視
・サービスイベントの監視
Database Oracle, MySQL, PostgreSQL, Redis, MongoDB 他 ・リアルタイム DB モニタリング
・特定時点分析
・大規模なシステムに対応したデータ分析基盤の提供
・クラウド DB サービスへの対応
Server Linux, Unix (AIX 等), Windows, Windows Server ・多様な規模に対応したサーバーモニタリング
・サーバーインベントリ管理
・リアルタイム統合アラート
・システム担当者向けのレポート
・クラウドにおける脆弱性の自動検知とアラート
・システム最適化のサポート
・プロセス性能の自動収集
・クラウド、オンプレサーバー、ハイブリッド環境への対応
URL 任意の有効なウェブサイトの URL ・外形監視(GET のみ)
・グローバルサービス向けの URL チェック(アクセス元のリージョン選択が可能)
・サイト性能(応答時間)モニタリング
・URL ごとのアラート設定
Cloud AWS CloudWatch, Azure Monitor, OCI 他 ・クラウドのメトリクスの収集と可視化
・EC2、EBS、ELB、AutoScaling、ElastiCache 等のサービスに関する事前定義ダッシュボードの提供 (AWS CloudWatch)
Log Java, PHP, Python, Server, CloudWatch Logs (WAF, Lambda, API Gateway, RDS, DocumentDB, Redis),  S3上のログ (VPC, CloudFront, ELB) ・ログデータストリームからのリアルタイムモニタリング
・ログの時系列トレンド分析
・検索機能
・アプリケーションプロファイルとの連携
Browser Chrome (PC/モバイル), Edge, Safari (PC/モバイル), Firefox, Opera, Samsung Internet ・ページ表示速度の収集と可視化
・Web リソース単位の情報収集と可視化
・Ajax 性能の収集と可視化
・ブラウザで発生したエラーの収集と可視化
・Core Web Vitals の収集と可視化
・ユーザのアクセス環境の収集と可視化

他の監視サービスとの比較

ネクストモード社では、SaaS 型 サーバ監視サービス Mackerel をフル活用した AWS 運用・保守代行サービスである、運用アシスタントを提供していますが、SaaS 型システム監視サービスとしての WhaTap Monitoring Mackerel のアプローチの違いを比較すると次のようになります。

WhaTap Monitoring はサーバ監視、アプリケーション性能管理(APM)を起点として発展した統合監視サービスとなっています。サービスの性質としては、New RelicDATADOG 等に近いものと見ることができるでしょう。一方、Mackerel は運用フェーズのクラウド環境を含むインフラ監視によりフォーカスしたサービスとなっています。

利用方法と料金体系

アカウントの作成(無償)で WhaTap Monitoring の利用が開始できます。

利用料金はサービスごとに従量課金制となっており、リソース数、時間に応じて金額が決定されます。各サービスには無料枠も設定されており、決済情報を登録する前にトライアルとして利用することが可能です(一部サービス除く)。

利用料金の詳細は、サービス公式ウェブサイト WhaTap Monitoring の利用料金を参照してください。

使ってみた


WhaTap Monitoring の使用感をお伝えするため、無償で利用可能となっている URL サービスをピックアップし、アカウント作成後の初期状態から URL の外形監視機能を使うまでの利用例をお示します。
操作の大まかな流れとしては、アカウント作成、ログイン、サービス選択とプロジェクト作成、サービス各種設定、ダッシュボードによる情報確認となります。
  1. 公式ウェブサイトヘッダーの「無料で試す」をクリックし、表示される手順に従ってアカウントを作成します。
  2. アカウント作成後、公式ウェブサイトヘッダーの「サインイン」をクリックし、作成したアカウントでログインします。管理画面が表示されます。

    WhaTap Monitoring 管理画面サービスカタログ
  3. メイン画面のサービスカタログから「URL」をクリックします。検索窓からサービスを絞り込むことが可能です。

    WhaTap Monitoring 管理画面サービスカタログ サービス選択
  4. URL サービスの設定を行います。プロジェクト名、データサーバーリージョン、プロジェクトタイムゾーンを設定し、「プロジェクトを作成する」をクリックします。

    whatap-create-url-project
  5. プロジェクトが作成されますので、「URL追加」をクリックし、監視対象の URL を追加していきます。作成したプロジェクトはサイドバーに追加されます。

    WhaTap Monitoring 管理画面 URL サービス URL 追加
  6. 名前、URL、アラート設定の値を入力し、「保存」をクリックします。チェック位置(外形監視用のアクセス元となるサーバのリージョン)は 4 の「データサーバーリージョン」で選択したものが自動設定されており、変更できませんでした。

    whatap-url-add-url2
  7. ダッシュボードに追加した URL に対する外形監視の情報(レスポンスタイム)が表示されました。個別の項目をクリックすることで、各項目の詳細情報を表示することも可能です。

    WhaTap Monitoring URL サービス リストビュー
    WhaTap Monitoring URL サービス 詳細ビュー
  8. サイドバーのプロジェクトメニューから、プロジェクトに関する各種設定が可能です。権限を設定した上で、プロジェクトを共有することなども可能となっています。

    WhaTap Monitoring URL サービス プロジェクトメニュー

まとめ


SaaS 型統合 IT システム監視サービス WhaTap Monitoring の機能概要と利用例をご紹介しました。

今回ご紹介した利用例は、WhaTap Monitoring が提供する機能のごくさわりの部分となりますが、導入の手軽さ、直感的な操作感など、本サービスの魅力を少しでもお伝えできていれば幸いです。

本記事を見て WhaTap Monitoring に興味を持たれた方は、是非お試しいただいてはいかがでしょうか。

リンク


WhaTap Monitoring 公式ウェブサイト https://www.whatap.io/ja