【Notion】Notion Workers は実務でどう使える?Linux パッケージの修正版リリース監視を即席で構築してみた

はじめに

こんにちは、ネクストモードのゆきなわです。

2026年10月21日、認証なしでリモートコード実行(RCE)につながる PHP の重大な脆弱性が2件公表されました。[1]
弊社でもお客さま環境の対応の準備を進めており、Amazon Linux 向けの修正版パッケージがリリースされたら、すぐに知りたい状況でした。

実際のセキュリティ対応を補助するため、普段利用している Notion AI で、対象パッケージの修正版がリリースされたら Slack に通知する監視ツールを作りました。その経験をもとに、Notion Workers を実務でどう活用できるかを紹介します。

結論

この記事の結論

  1. 一時的に必要になった監視ツールを Notion AI への指示で短時間に用意できました。Worker のコードも含めて、Notion AI が作成しました。
  2. Notion Workers で公式情報を5分ごとに確認する処理を実現しました。今回の環境ではカスタムエージェントの定期実行に15分間隔を指定できなかったため、最短5分間隔で実行できる Workers を組み合わせました。[4]
  3. Amazon Linux 2 と Amazon Linux 2023 の修正版のリリースをいずれも Slack への通知で把握できました。提供予定の修正版がすべてリリースされた時点で、ツールを停止しています。

背景:修正版のリリースをいち早く知りたかった

PHP 公式の修正版(8.5.12/8.4.27/8.3.36/8.2.35)は、公表と同時に公開されました。[1]
Amazon Linux の環境でも、ソースからのビルドなどで更新することはできますが、AWS 提供のパッケージを使う場合は、AWS による修正版のリリースを待つ必要があります。

AWS のセキュリティ速報では、修正版パッケージの提供は2026年10月22日の予定とされていました。[2]

リリースに気づくには、Amazon Linux のセキュリティ情報を定期的に確認するしかありません。
ただ、暫定対処やお客さまとの調整に追われるなかで、定期的にページを開いて確認するのは手間がかかります。

そこで、この確認を自動化し、対象パッケージの修正版がリリースされたら、その情報をピンポイントで Slack に通知する仕組みを Notion AI で作ることにしました。

Notion AI による監視ツールの作成

利用した Notion の機能は次の3つです。

機能 今回の役割
Notion AI
(Notion エージェント)
対話しながら作業を指示できる AI。今回は監視ツールの作成に利用
カスタムエージェント
(Custom Agents)
指示とトリガーを設定しておくと自動で実行されるエージェント。今回は Slack への通知を担当
Notion Workers Node.js/TypeScript のプログラムを Notion 上で実行する仕組み。今回は公式情報の定期確認を担当[3]

Notion AI には、対象の CVE を15分ごとに確認し、Amazon Linux 2023 と Amazon Linux 2 で修正版がリリースされたときだけ Slack に通知するカスタムエージェントを作るよう指示しました。

これに対して、カスタムエージェントの定期実行では15分間隔を指定できないため、1時間ごとの確認にしてはどうかという提案がありました。
速報として知りたいと伝えると、最短5分間隔で実行できる Notion Workers と組み合わせる構成が提案されました。[4]

構成は次のとおりです。

AWS の公式情報を Worker が5分ごとに取得して判定し、新しい修正版だけを Notion のデータベースに記録します。記録をきっかけにカスタムエージェントが Slack へ通知し、担当者が内容を確認して適用します。修正版の公開を検知して通知する流れAWS の公式情報Amazon Linux の RSS・CVE ページ5分ごとに取得Worker(同期)対象 CVE と修正版の有無を判定新しい修正版だけ記録Notion データベースOS・CVE・修正版・公式 URL を記録記録をきっかけにカスタムエージェント未通知の修正版を通知文にまとめる通知Slack担当者が内容を確認して適用
図1 修正版の公開を検知して Slack へ通知する流れ

Worker が5分間隔で Amazon Linux の RSS と CVE のページを確認し、新しい修正版を検知したときだけ Notion のデータベースに記録します。
その記録をきっかけにカスタムエージェントが起動し、Slack に通知します。

カスタムエージェントと Worker は、いずれも Notion AI が作成しました。
通知を有効にする前に、Slack に投稿しない状態でテストを実行し、修正版がないときは何も通知しないことを確認しました。

指示を出してから利用を開始するまで、ごく短時間で済みました。

Notion Workers の全体像や利用条件は、弊社記事「【入門】Notion Workersとは?開発者プラットフォームの全体像とCLIでのデプロイ方法を解説」で紹介しています。

実行状況と Slack への通知

Worker の実行履歴を見ると、09:49 のデプロイ後、09:50 から5分間隔で同期が行われています(下図)。

Notion Workers の実行履歴。09:49 にデプロイしたあと、checkPhpFixes の同期が約5分間隔で実行され、すべて成功している

その後、Amazon Linux 2 の修正版パッケージが公開され、10:00 に Slack へ次の通知が届きました(下図)。[5]

Amazon Linux 2 の PHP 修正版のリリースを知らせる Slack 通知。対象 OS、パッケージ、対象 CVE、修正版、公開日、公式アドバイザリへのリンク、更新コマンドが記載されている

通知には、対象の OS とパッケージ、修正版のバージョン、公式アドバイザリへのリンク、更新コマンドが含まれています。
担当者はリンク先の一次情報を確認し、そのまま適用の準備に移れます。

同日中に Amazon Linux 2023 の修正版もリリースされ、Slack で把握できました。
提供予定の修正版がすべてそろい、監視の必要がなくなったため、カスタムエージェントと Worker を停止しました。

Notion Workers の活用に適した場面

Notion Workers は、今回のように定期的に情報を確認し、変化があったときだけ通知する仕組みを、必要になったその場で用意したい場面に適していると感じました。

情報源に RSS があり、新着をキーワードで絞り込めば足りるなら、RSS 監視ツールで十分です。
今回は RSS の新着に加えて、CVE のページやアドバイザリのページも読み取り、対象パッケージの修正版かどうかを判定しました。

Workers の同期は RSS に限らず任意の API からデータを取り込めるため[3]、このように Web ページの内容をもとに判定することもできます。
こうした判定の条件を指示すれば、そのまま仕組みとして実装できる点が、Notion AI と Workers を組み合わせることの利点です。

一方、5分より短い間隔での検知や、通知の確実な到達が求められる本番システムの監視には向きません。
こうしたミッションクリティカルな用途では、専用の監視システムを構築するほうが適しています。

おわりに

今回の取り組みを通じて分かったことは、次の通りです。

  • Workers は、カスタムエージェントの定期実行では足りない部分を補い、Notion で自動化できる業務の範囲を広げる
  • Workers のコードも Notion AI に作成を指示できるため、必要になったタイミングで仕組みを用意できる
  • RSS に限らず、Web ページや API から取得した情報をもとに判定できる

定期的な確認が必要な業務があれば、Notion Workers による自動化も選択肢になります。
本記事が Notion Workers の活用を考える際のご参考になれば幸いです。

 

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