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ヒマラヤ:アンナプルナ(ABC)でのワーケーション

ワインをこよなく愛する里見です。2024年9月18日~22日まで、ヒマラヤのアンナプルナのベースキャンプ(ABC)に登りながらワーケーションをしてきました。ネパールは通信や電源が不安でしたが、予想よりも働けることがわかりました。山小屋での通信速度を含めてお伝えしたいと思います。

はじめに


なぜワーケーションをするのかとよく聞かれます。自分にとって旅は、普段の価値観を相対化してくれる貴重な機会となっています。自分が決めつけていることを剥がしてくれるのが旅だと思っています。自分の東京での暮らしと異なる生活をしている現地の方の文化に触れることで、いつもの自分と違う価値観を自分の中にインストールして、プロトコルの違いやアクセスできない部分、そんなものを見付けることが楽しみになっています。無理やり自分をアップデートしてリブートさせるような気持ちになれるのが、ワーケーションの良いところです。

最近は、ワーケーションの中でも登山が気に入っています。自分にとって登山は、瞑想に似た感覚を得ることができるようです。今回はヒマラヤでワーケーションをしたら気持ちがいいだろうと思い、チャレンジしてみました。

通信速度の事前調査


ワーケーションでなにより大切なのが、通信速度です。最近のアジアは日本の通信速度とほぼ同じですが、ネパールは南西アジアで最も所得水準の低い後発開発途上国(LDC:Least Developed Countries)と言われているため、不安でした。

事前にスピードテスト(https://www.speedtest.net/global-index)で調べたところ、2024年9月現在、ネパールの通信速度は161か国中77位とやや低く、ワーケーションができるかわかりませんでした。(同サイトで日本は15位でした)

ブログ等を調べてみると、それでもワーケーションをしている方が数名いるので、これはいけるのではないかと思い、今回、試してみました。

 

突発的な停電


もうひとつの不安は、停電が定期的にあるということです。10年ほど前までは、1日の半分以上で電気が使えないことがあったそうですが、カトマンズやポカラでは、突発的な停電があっても、15分ぐらいすると回復しました。一般的なノートパソコンのバッテリーで十分かと思いますが、念のためAnkerの大型モバイルバッテリー(737 PowerBank (PowerCore 24K) を持っていきました。このモバイルバッテリーは632gもあるので、次回は320gのAnker 733 Power Bankにしたいと思います。

Anker 737 Power Bank (PowerCore 24000)

 

今回の行程


事前にブログやYamapの記録でポカラからのジープのルートを調べて、Jhinu Dandaまでジープで行く予定でした。しかし、なかなか予定通りには行きません。地滑りや崖崩れが頻繁にある為、車でのアプローチが時期によって変わるようです。連れて行ってくれたジープの運転手はなにも教えてくれず、かなり麓の「Kilu」で降ろされました。事前の予約では「Tilu」という村で降ろすとWhatsAppのやりとりで言われていて、スペルミスから場所が判別できなかったことが悔やまれます。地元の方は、地図上の地名を略して伝えることがあり、ルートに迷います。

ヒマラヤでのトレッキングは、現地での柔軟な対応(可能であれば余裕を持った旅程日数)が必要です。山小屋で道を聞いても、人によって言うことが違うので(略して言っている可能性もあり)、何度も確認しながらルートを選びました。Yamapのルートでは、ほとんど使われていない廃道をガイドされることもあり、登山靴が蛭だらけになりました。

・事前トレーニングで心肺能力をあげておくと少しでも楽に登れる(事前の1週間で、ランニング:10km:2回、自転車:100km:1回)
・アルコールは数日前からトレッキング終了まで飲まない(事前1週間+トレッキング中5日間)
・9月下旬は雨季でも晴れ間が多い(ABCが曇っていたので次回は5月にトライしたい)
・雨具必須(9月下旬はときどきパラパラと降ります)
・ダイアモックス(高山病の薬)のせいか高地で手足がしびれる ※ネパールで1シート200円ぐらいで買えます
・「救心」を飲むと高地でもよく眠れる
・毎日、「百草丸」を飲んでお腹は無事(長野県民に感謝)
・ポーターを頼まない人はあまり見ないので、自信のない人は頼んだほうがいい
・ポーターは山小屋でお願いすれば現地でも頼める ※ひとりのポーターあたり15kgぐらいまで持ってくれるそうです
・ポーターのチップは1日5ドル程度らしい

デジタルウォッチ、テキストの画像のようです

下記の写真のJhinu Dandaの吊り橋が一般的なトレッキングのスタート地点です。自分はここまで追加で8時間歩きました。この時期は3000m付近まで日差しが強く、とても暑かったです。帽子やサングラス等の日焼け対策は必須だと思いました。
観光客の外国人でポーターやガイドを雇っていない方はほとんど見ませんでした。なんとか自力でABCまでたどり着けたことは、自信となりました。上高地から穂高岳山荘まで1日で登れるぐらいの体力があれば、自力でのトレッキングを試してみてもいいかと思います。

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山小屋について


ルート上にはたくさんの山小屋があります。9月下旬は、10月からの本格的なシーズンの直前ということもあり、山小屋は現地で選び放題でした。

・山小屋はすべて800ルピー(1部屋の値段なので複数人だとさらに安い、2人〜4人部屋のバリエーションがある)
・山小屋のドミは250ルピーだが試してない
・山小屋にすべて温水シャワーがあった
・山小屋のトイレがキレイ(日本の山小屋では見ないレベル)
・気温が低いので洗濯すると生乾き
・食事が高度と共に値段が上がる(ベースキャンプでは地上の2倍〜6倍) ※3000m付近から肉食が禁止されていますが卵と魚はOKみたいです
・コカ・コーラはABCで550ルピー(地上の6倍以上)するが神の雫かと思うぐらい美味い ※下記の写真はABCの価格表でビールも売っている

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・水は数km毎にある山小屋で買える(節約する人はアクアタブ
・食事が高度と共に不味くなる(ネパールが嫌いになりそうになるレベル) ※下記の写真が食事ABCの朝食:油が悪いのか美味しくない

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・ダルバートの刺激は高地ほどお腹グルグルにつながる
・珈琲マシンのある山小屋の珈琲はマジで美味い ※下記の写真が標高2400mにある山小屋で飲んだ珈琲

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・10月以降は寒いので、山小屋の布団だけでは辛そう ※寝袋携行が必須かと思われます
・最低限のものは売っているので次回は荷物を軽量化したい ※下記の写真はABCのもので、ポップコーンやプリングルスが売っている

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・犬がやたらと多くてカワイイです

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 山小屋の通信速度

今回は登りで3泊(ABC含む)しました。スピードテストの結果は以下の通りで、かなりスピードにブレがあります。

最初の宿泊場所、Chhomrongの山小屋でのスピードテスト。49Mbpsあれば十分に思えますが、この場所でWEB会議(Google Meet)を1時間したところ、ときどき音声が途切れました。途中で画面をOFFにしたところ、会話は成立しました。

461137179_1421977665137901_9124745777890987850_nABCでのスピードテスト。山小屋の食堂にWi-Fiのアクセスポイントがある場合が多く、以下は食堂での速度です。WEBを見る分には問題ありませんが、ときどき遅いサイトもあります。宿泊した部屋でのスピードテストでは、もう少し低い速度でした。

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どうやって通信手段を確保しているのか興味があったので、トレースルートも取得。

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山小屋の電源


ほとんどの山小屋では充電のサービスがありました。コンセントが限られていることが多く、小型のテーブルタップがあると便利だと思います。なお、ABCの山小屋では充電のサービスがありませんでした。 かなり寒いため、バッテリーの消耗も早いです。ガチで仕事をするとなると、ABCの手前の山小屋までが、ワーケーションの限界地点かと思います。
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最後に


アンナプルナはエベレストよりも危険な山で、死亡率が30%台であることはよく知られています。「アンナプルナで雪崩、200人救助も韓国人ら7人不明 ネパール」という記事にある通り、ベースキャンプ付近でも雪崩での事故がときどきあるようです。特に積雪期のトレッキングは安全第一で登ってください。

今回、ABCの天気が曇りで、残念ながら間近でアンナプルナを見ることができませんでした。次回、ゆっくりワーケーションをしながら再チャレンジしたいと思います。

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