PAM(特権アクセス管理)とは?企業のセキュリティを守る重要な仕組みを解説

はじめに


こんにちは、 ネクストモード株式会社 のSaaSおじさん久住です。

ネクストモードではID統合管理やセキュリティソリューションを活用して、企業のセキュリティ強化を支援しています。

今回は、企業のセキュリティ対策において重要な「PAM(Privileged Access Management:特権アクセス管理)」について解説します。

PAM(特権アクセス管理)とは


PAMは、システム管理者やデータベース管理者など、特権的なアクセス権限を持つアカウントを管理・保護するセキュリティソリューションです。

企業にはGoogle Workspaceの一般ユーザー等の通常の「ユーザーアカウント」だけでなく、サーバーの設定変更やデータベースへのフルアクセスなど、強力な権限を持つ「特権アカウント」が存在します。
これらのアカウントが悪用されると、企業全体のシステムが危険にさらされる可能性があります。

PAMは、こうした特権アカウントへのアクセスを適切に管理し、「誰が、いつ、何にアクセスしたか」を記録・監視することで、セキュリティリスクを低減します。

PAMの導入によるメリット


PAMの本質は、単なる管理ではなく 「必要な人に、必要な時に、必要な分だけ」 権限を与えることです。これは 最小権限の原則(Principle of Least Privilege) を実現する考え方でもあります。

PAM導入のメリットは多岐にわたりますが、現場目線で「ここが効く!」というポイントを3つに絞ってご紹介します。

セキュリティインシデントのリスクを大幅に軽減できる!

特権アカウントは「システムへ入るための鍵」のようなものです。この鍵が適切に管理されていないと、外部からの攻撃や内部不正によって重大なセキュリティインシデントが発生する可能性があります。

昨今話題になっているセキュリティインシデントについても最終的には特権アカウントが侵害されたことで被害が拡大しています。

PAMを利用すると、特権アカウントのパスワードを自動で定期変更したり、アクセスする際に多要素認証を求めたりすることができます。また、特権アカウントへのアクセスをすべて記録することで、万が一の際にも原因追及が可能になります。

コンプライアンス要件への対応ができる!

多くの業界では、特権アカウントの管理に関する規制やコンプライアンス要件が存在します。金融機関であればFISC安全対策基準、医療機関であればHIPAA、その他ISO 27001やSOC 2などの認証取得においても、特権アカウントの適切な管理が求められます。

PAMを導入することで、アクセスログの記録、権限の棚卸し、アクセス申請・承認フローの整備など、これらの要件に対応することができます。監査の際にも、PAMのレポート機能を活用することで、証跡を簡単に提示できるようになります。

運用の効率化と可視化ができる!

特権アカウントの管理を手作業で行っていると、パスワードの共有、変更作業の煩雑さ、権限の付与・剥奪の遅延など、さまざまな運用課題が発生します。

PAMを利用すると、パスワードの自動管理、セッションの自動記録、一時的な権限の自動付与・剥奪など、運用作業を大幅に効率化できます。また、誰がどのシステムにアクセスしているかを可視化できるため、管理者の負担も軽減されます。

主な機能


PAMは「パスワード管理」「アクセス制御」「セッション管理」「監査・レポート」の大きく4つの機能から構成されています。

パスワード管理

特権アカウントのパスワードを安全な「金庫」に保管し、自動で定期変更(ローテーション)する機能です。

利用者は実際のパスワードを知ることなく、必要な時だけPAMを経由してシステムにアクセスできます。パスワードが定期的に自動変更されるため、万が一漏洩しても被害を最小限に抑えることができます。

アクセス制御

特権アカウントへのアクセスを申請・承認フローで管理したり、アクセスできる時間帯や期間を制限したりする機能です。

「誰が」「どのシステムに」「いつ」「どのくらいの期間」アクセスできるかを細かく制御できます。緊急時には即時アクセスを許可する仕組みも用意されています。

セッション管理

特権アカウントでアクセスしている際の操作を記録・監視する機能です。

画面操作を動画として記録したり、特定のコマンドが実行された際にアラートを発したり、危険な操作を検知して自動的にセッションを切断したりすることができます。これにより、リアルタイムでの監視と事後の監査が可能になります。また、『誰かが見ている』という心理的抑制力になり、内部不正の防止に繋がります。

監査・レポート

特権アクセスの履歴をレポートとして出力し、監査やコンプライアンス対応に活用する機能です。

「誰が」「いつ」「どのシステムに」「何をしたか」を詳細に記録し、レポートとして出力できます。定期的な権限の棚卸しや、監査時の証跡提出にも活用できます。

ユースケース


最後にどんなユースケースで使えるか考えてみます。

本番環境へのアクセス管理

開発チームが本番環境にアクセスする際、PAMの申請・承認フローを経由することで、適切な権限管理とアクセスログの記録が可能になります。

緊急時には迅速にアクセスを許可し、操作内容はすべて記録されるため、事後の確認も容易です。

外部ベンダーへの一時的なアクセス権限付与

システムメンテナンスのために外部ベンダーに一時的なアクセス権を付与する場合、PAMを使えば期間限定のアクセス権を自動で付与・剥奪できます。

ベンダーの作業内容もすべて記録されるため、セキュリティを担保しながら柔軟な運用が可能です。

コンプライアンス監査への対応

金融機関や医療機関など、厳格なコンプライアンス要件がある業界では、PAMのレポート機能を活用して監査対応を効率化できます。

特権アクセスの履歴、権限変更の記録、定期的な棚卸し結果などを一元管理し、監査時に迅速に証跡を提示できます。

さいごに


PAMは、企業のセキュリティ対策において「最後の砦」とも言える重要なソリューションです。特権アカウントは強力な権限を持つがゆえに、適切に管理されないと大きなリスクとなります。一方で、厳格すぎる管理は運用の妨げになることもあります。

PAMを導入することで、セキュリティと利便性のバランスを取りながら、適切な特権アクセス管理を実現できます。

自社のセキュリティ体制を見直す際には、ぜひPAMの導入を検討してみてはいかがでしょうか!