【Notion】コンピューターワークスペースで広がる Notion AI の活用範囲:ログ分析からスライド・動画作成まで

はじめに


こんにちは、ネクストモードのゆきなわです。

ログ分析、スプレッドシートや PowerPoint スライドの作成など、Notion AI にデータを入力してさまざまな処理を任せ、実務で使える成果物が得られる場面が増えてきました。この「入力を処理して成果物を作る」一連の作業を支えているのが、コンピューターワークスペース(computer workspace)と呼ばれる実行環境です。

本記事では、公式ドキュメントの記載と実際の検証結果をもとに、コンピューターワークスペースを実務のさまざまな処理にどう活用できるかを整理します。今回は筆者の独断で、普段の業務でよく扱うログ分析、AWS から取得したデータの分析、スライド作成の3つに加え、検証として解説動画作成を選びました。

⚠️ 本記事は2026年9月現在の公開情報と、今回の環境で確認した内容に基づきます。

Notion AI の機能、実行環境、利用上限は予告なく変更される場合があります。

最新情報は公式ドキュメント等をご確認ください。

今回試したユースケース


今回取り上げた4つのユースケースと、確認できた内容をまとめます。

用途 記事での紹介例
ログ分析 Windows イベントログ7ファイルを使った時系列・エラー分析
AWS 連携 外部で取得した AWS データを使った分析・可視化
スライド作成 テンプレートを使った PowerPoint 資料作成
解説動画作成 音声ファイルを使った 1080p MP4 ファイルの書き出し

これらに共通するのは、ファイルやデータを受け取り、必要な処理を組み立て成果物として出力している点です。

以降では、まずコンピューターワークスペースについて説明した後、それぞれの具体例を紹介します。

コンピューターワークスペースとは


コンピューターワークスペースは、Notion Agent(Notion エージェント)がファイル処理や計算、コード実行に使う、隔離された実行環境です。アップロードしたファイルを読み取り、スプレッドシートやスライド、PDF などの成果物を作成する作業は、この環境で実行されます。入力も成果物もワークスペースのページやデータベースとそのままやり取りできる点が特徴です。

公式ヘルプでは「コンピュータワークスペース」または「安全なワークスペース」と記載されています。

コンピューターワークスペースは指示内容に応じて自動的に利用されるため、ユーザーが機能名を指定して起動する必要はありません。ファイル処理や成果物の作成を Notion AI に依頼するなかで、名称を意識しないまま使っていることもあります。

Notion 公式ドキュメントで確認できる機能

公式ヘルプで案内されているのは、次の3点です。

  • アップロードしたファイルの読み取り(PDF、CSV、Excel/XLSX、Word/DOCX、PowerPoint/PPTX、ZIP)
  • 計算の実行(必要に応じた簡単なコードの実行)
  • ダウンロード可能なファイルの作成(スプレッドシート、スライドデッキ、PDF、ドキュメント)

同様の仕組みは、ChatGPT のデータ分析Claude のファイル作成などにもあります。外部アクセスの扱いは異なりますが、コードやファイルを隔離された環境で扱い、アクセスを制限・管理する考え方は共通しています。

Notion Agent、外部接続、サンドボックスとの関係

Notion Agent は、ユーザーの指示に応じて処理を計画・実行します。外部サービスからの情報取得や操作には、AI コネクター、承認済み MCP、専用ツールなどの外部接続を利用します。

ファイル処理、計算、コード実行は、隔離された Linux 環境であるコンピューターワークスペースで行われます。下図は、指示を起点に、成果物の作成や承認済みの外部アプリの操作へ進む流れを筆者が独自に整理したものです。

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図1:Notion Agent を中心とした分析と操作の流れ

検証した範囲と主要スペック


本記事の検証で使用した実行環境は、次の構成でした。ライブラリやアプリの詳細は末尾の付録に掲載します。

項目 今回確認した内容
OS・アーキテクチャ Amazon Linux 2023、x86_64
CPU 2 論理 CPU、Intel Xeon 2.90 GHz
メモリ 4.2 GiB、Swap なし
ディスク 約31.9 GiB、確認時点で約22.9 GiB 空き
主要ツール Python 3.13、Node.js 24、pandas・Matplotlib・python-pptx、Remotion・Playwright、LibreOffice・FFmpeg・Chromium など
GPU・コンテナ GPU なし、Docker/Podman 未導入
外向き通信 試した接続先への DNS 解決・HTTPS 接続は失敗

確認日は2026年9月15日、利用プランは Notion Enterprise と Notion AI アドオンです。

表の内容は、コンピューターワークスペース上で unamenprocfreedf、各ツールのバージョン確認コマンドを実行し、実際の出力から確認しました。
これらは今回の検証環境で確認した値であり、Notion が保証する仕様ではない点、ご留意ください。

ユースケース1:ログをアップロードして分析する


ログファイルの分析は、コンピューターワークスペースを使う効果が特に分かりやすい作業です。CSV、JSON、プレーンテキストなどを渡すと、件数やエラー率の集計、時系列の整理、レイテンシの分布、リクエスト ID をキーにした複数ログの突合などを依頼でき、結果を CSV、Excel、PDF、Notion ページなどに出力できます。

用意されたライブラリの機能に限らず、必要な処理をその場でコードとして書き起こせるため、形式が不統一なログや、リトライで重複したリクエストの除外といった個別の要件にも柔軟に対応できます。

実例:Okta Verify がアップデート後に使えなくなった事象の調査

実際にログを渡して調べた例を1件紹介します。お客さま環境で、多要素認証アプリ Okta Verify が自動更新された直後から、端末でアクティベーションできなくなったという相談でした。

  • 渡したもの:対象端末から取得したバイナリ形式(.evtx)の Windows イベントログ(アプリケーション、システム、Okta Verify のログ)7ファイル分と、発生日時と症状を書いた短いメモ
  • 指示したこと:更新前後の時系列の整理と、繰り返し記録されているエラーの抽出
  • 返ってきたもの:更新前後の時系列、プロセスの異常終了と内部データストアの初期化失敗の記録、端末側が応答できずタイムアウトしているという仮説

人手による確認は実ログへのエラーの存在確認とメーカーナレッジベースとの整合性チェックの2点にとどまりました。本件は既知の手順では解消に至らずメーカーエスカレーションとなったものの、「AI に一次整理・仮説出しは任せ、原因確定と次の打ち手は人が判断する」という切り分けにより、トラブルシューティング全体の工数は顕著に削減されています

イベントログはバイナリ形式(.evtx)のまま渡しました。専用のライブラリは導入されていませんでしたが、必要な読み取り処理をコードで補うことで、テキストや CSV へ事前に変換せず内容を確認できました。

ユースケース2:AWS のデータを取得して分析する


ユースケース1では手元のログファイルをアップロードして分析しましたが、ここでは AWS 上のデータを直接取得して分析する構成を検討します。

今回の検証では、外部への DNS 解決および HTTPS 通信が行えず、環境内から AWS へ直接接続することは確認できませんでした。 また、AWS CLI や SDK もプリインストールされておらず、外部通信が遮断されているため追加インストールも行えませんでした。

そのため現時点では、AWS 側で必要なデータをエクスポートし、ファイル経由または承認済みの連携経路を通じて渡す構成が最も現実的です。例えば、CloudWatch Logs Insights や Amazon Athena から出力したクエリ結果(CSV/JSON 等)をアップロードすれば、コンピューターワークスペース上で集計・可視化・レポート作成・変更計画の策定などを実施できます。

下図は、「AWS の操作・データ取得」と「取得後データの分析」の役割を分離した構成イメージです。

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図2:AWS への接続・操作とコンピューターワークスペースでの分析を分けた構成

Notion エージェントは MCP サーバーの接続 に対応しているものの、可能な AWS 操作は提供ツールと付与権限の範囲に絞られます(本検証では対象外)。 加えて、Notion AI の Web 検索機能とワークスペース環境のアウトバウンド通信は別系統であり、本環境では curl 等の外部通信は行えませんでした。 運用上で変更操作を扱う際は、最小権限の適用と実行前のユーザー確認を前提としたガバナンス設計が求められます。

ユースケース3:スライドを作成する


Notion 公式ヘルプにもあるとおり、コンピューターワークスペースは PowerPoint スライド(PPTX)の作成に対応しています。Notion ページや分析結果を入力として、Python/JavaScript で構成設計からグラフ・画像の配置、発表者ノートの作成までを自動処理できます。
 
会社のテンプレートやブランドカラー、ターゲット読者を指定すれば、フォーマットに沿ったたたき台が作成可能です。さらに、環境内の LibreOffice や Chromium で画像/PDF 化することで、文字切れやレイアウトの乱れも事前に検知・修正できます。
 
ネクストモードでも、これらの一連の手順を Notion AI のカスタムスキル に組み込み、指示出しの手間を最小化しつつ統一フォーマットで資料を作成する仕組みの整備を進めています。Notion AI のカスタムスキルの詳細は下記記事をご参照ください。

ユースケース4:解説動画を作成する


コンピューターワークスペースでは、テキスト・画像・音声をタイムライン上に配置し、MP4 動画を出力する高度な活用も可能です。公式ヘルプに明記はないものの、環境内に Remotion、React、FFmpeg がプリインストールされていたため、実機でのコード生成からレンダリングまでを検証しました。
 
以下は、Remotion で確認用の静止画を生成している際のコンピューターワークスペースの表示です。
 
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図3:コンピューターワークスペースで Remotion の確認用静止画を生成するスクリプトを作成・実行する様子 
 
構成・デザイン・尺を指定した新規コード生成はもちろん、既存 Remotion プロジェクトの修正などにも対応できます。検証では、外部で用意したナレーション音声を合成し、フルHD(1080p/30fps)の MP4 動画(29秒および68秒)の書き出しに成功しました。
 
ただし、ネットワーク制限により音声合成ソフトを環境内に追加導入できないため、動画コード作成とレンダリングはワークスペースで行い、音声生成は外部で事前に済ませるという分担が必要になります。

まとめ
今回の検証では、Notion AI を起点にログ分析から PPTX・MP4 の生成まで幅広いタスクを完結できました。不足する機能はコンピューターワークスペース内のコード実行で柔軟に補える点が大きな強みです。
 
一方、外部通信やツール追加の制限から、AWS 連携や音声合成には事前のデータ準備・外部処理が不可欠でした。今後は、安全性を維持しながら連携先や利用可能ツールを段階的に拡張できる仕組みが整うことで、Notion AI の実用性はさらに高まることが期待されます。
 

付録:確認した実行環境の詳細


分類 今回確認した内容
ランタイム Python 3.13.14、Node.js 24.14.1(OpenJDK、Perl、Bash、コンパイラの GCC も利用可能)
Python ライブラリ pandas、openpyxl、Matplotlib、Plotly、Seaborn、python-pptx、python-docx、PyMuPDF、pdfplumber、Pillow、OpenCV など
Node.js モジュール React、Remotion、Playwright、PptxGenJS、Sharp、TypeScript、Prettier など
アプリ・CLI Chromium、LibreOffice、FFmpeg、ImageMagick、Poppler、Ghostscript、Git、jq、ripgrep など
未導入を確認したもの AWS CLI・SDK、Docker/Podman、GPU

※ライブラリ、モジュール、アプリは代表例で、個別のバージョンは省略しています。

参考ドキュメント


他社 AI プラットフォームの公式ドキュメント

Notion 公式ドキュメント

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